Azure仮想マシンにおける管理ディスクと非管理ディスク

始めに

Azure仮想マシンのディスク(VHD:Virtual Hard Disk)は、これまでは汎用もしくはBLOBストレージのストレージアカウントを通して、各ストレージアカウントにアクセスし利用する必要がありました。しかし、現在はより柔軟かつ安易なAzure仮想マシン専用のディスクサービスが利用可能となっています。この新しく登場したディスクサービスはAzureによって管理されているため「管理ディスク(マネージドディスク)」と呼ばれ、それに対し従来のディスクサービスは「非管理ディスク(アンマネージドディスク)」と呼ばれています。

Microsoft Azure 非管理ディスク(unManaged Disks:アンマネージドディスク)

「リソースマネージャデプロイモデル(ARM)」の、利用者がストレージアカウントを通して「ページBlob」を使用する従来の仮想マシン用ストレージディスクサービスです。非管理ディスクから管理ディスクへの移行も可能です。

ページBlobが利用可能なストレージアカウントは2種類あります。
・汎用V1:全てのストレージサービスにアクセス可能な従来のストレージアカウント
・汎用V2:最新機能をサポートし、全ての機能が組み込まれたストレージアカウント

選択したストレージアカウントごとに非管理ディスクは2種類あります。
・Premium SSD:高パフォーマンスなSSDベースのストレージ
・Standard HDD:コスト最小化

非管理ディスクのコストは、選択したストレージアカウントと非管理ディスクによって決まり、主に
・ページBlobの種類
・ディスクサイズ
・送信データ転送
・トランザクション回数(Premium SSD以外)
に対して課金が行われます。ディスクサイズは、プロビジョニング済みデータサイズに対して課金されます。

Microsoft Azure 管理ディスク(Managed Disks:マネージドディスク)

2017年から提供を開始した「リソースマネージャデプロイモデル(ARM)」のAzureによってストレージアカウントが管理されたAzure仮想マシン向けOSディスクとデータディスクのための専用ストレージサービスです。(Windows/Linux)Microsoft Azureでは、これからの仮想マシン作成の際は特別な理由がない限り管理ディスクの利用が推奨されています。

選択できる管理ディスクの種類は現在4種類があります。
・Premium SSD Managed Disks:高パフォーマンスが必要なワークロード
・Standard HDD Managed Disks:費用対効果の高い一貫したパフォーマンス
・Standard SSD Managed Disks:開発・テスト・バックアップ用ディスク
・Ultra SSD Managed Disks:高いI/O指向、トランザクションの多いワークロード

管理ディスクのコストは、実際に使用した容量に関係なく、
・ディスクの種類
・ディスクサイズ
・スナップショット
・送信データ転送
・トランザクション回数(Premium SSD Managed Disks以外)
で決まります。管理ディスクも同様にプロビジョニング済みデータサイズに対して課金されます。スナップショットを使用する場合は、スナップショットの保存先ストレージの種類ごとに単価が設定されており使用量(GB)に対して課金が発生します。

スナップショットとは:ある時点でのファイル、ディレクトリ、データベースファイルなどの状態を丸ごと抜き出し保存したものです。

管理ディスクを利用するメリットと非管理ディスクと管理ディスクの違い

・すぐれた持続性と可用性

99.999%の可用性設計。管理ディスクは、データの3つのレプリカを提供しており、高い可用性を実現しています。あるレプリカで問題が発生した場合でも、残りのレプリカがデータを維持するため、高い耐障害性を確保します。そのため、Azureは業界トップレベルの年間故障率0%を一貫して提供しています。

・パフォーマンス(シンプルかつスケーラブル)

管理ディスクでは、仮想マシンディスク作成時に従来必須であったストレージアカウントの管理が不要になりました。ストレージアカウントには上限20000IOPS/アカウントの制限があったため、ひとつのストレージアカウントに多くのディスクを配置すると、IOPS制限に達する可能性がありましたが、管理ディスクではAzureが管理を行っているため、これらストレージアカウントの持つ制限のために複数のストレージアカウントを管理する必要がなくなりました。サブスクリプション内の特定の仮想マシンディスクをAzureリージョンあたり最大5000個まで作成可能なので、ひとつのサブスクリプションで数千台の仮想マシンを作成できます。

・耐障害性(信頼性の向上)

管理ディスクは、可用性セット内の仮想マシンディスクが単一障害点にならないように相互に十分に分離されています。 ディスクは様々なストレージスケールユニットに自動的に配置されます。そのためハードウェアやソフトウェアの障害が発生した場合、障害が発生したストレージスケールユニット上のディスクを使用する仮想マシンインスタンスのみ機能しなくなります。仮想マシンディスクは全て同じストレージスケールユニットに格納されるわけではないため、他のインスタンスは引き続き実行されます。

・ディスク容量と種類の変更が安易

従来の非管理ディスクは作成時にディスクを決定し、変更したい場合は別にストレージアカウントを作り直しVHDコピーを行う等、安易に切り替えを行うことは困難でした。しかし管理ディスクは設定ひとつでHDD/SSDを切り替えることが可能です。

・スナップショット機能

従来の非管理ディスクでは、スナップショットはあくまでも現在のデータからの差分データでした。しかし、管理ディスクのスナップショットは、都度コピーとフルコピーが可能です。利点として、スナップショットからの仮想マシンの展開時にファイルコピーが発生しないため、仮想マシンに問題が発生した場合に、スナップショットから直接高速なバックアップ・リカバリーが可能です。非管理ディスクではスナップショット単体での利用はできないため、いったんスナップショットからコピーをしたVHDをもとに仮想マシンを作成する必要がありました。

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