ベアメタルクラウドとは? Azureで使用されているサービスは?

ベアメタルクラウドとは?

クラウド内の物理的なベアメタルサーバをユーザに提供することです。これにより占有されたリソースによる処理能力の向上、クラウド内リソースを使用したスケーラビリティ向上といったメリットがあります。順番に見ていきましょう。まず、何もインストールされていない状態のHDDやコンピュータのことをベアメタルと言います。元々の英語の意味は「bare」が「裸の」という意味なのでむき出しの状態の金属という意味です。そこからまっさらな状態のサーバやHDDを指す用語として使われました。そのベアメタルサーバを使用したサービスがベアメタルクラウドです。ベアメタルクラウドの概要とAzureでのサービスをご紹介します。

ベアメタルサービスの種類と特徴

ベアメタルを使ったサービスにはべアメタルサーバがあります。これはインフラ企業がユーザ専用の物理サーバを貸し出すサービスです。ベアメタルサーバは増設が必要になったらインフラ企業に掛け合って増設してもらいま必要があり、スケーラビリティが低い点が問題でした。

一方のクラウド環境のベアメタルサービスがベアメタルクラウドです。ベアメタルクラウドはクラウド内で専用の物理サーバを提供するという違いがあります。ベアメタルクラウドは他のクラウドサービスと同じように管理し必要な時に簡単に増設が可能なためベアメタルサーバよりもスピーディに需要に対応できます。

なぜベアメタルクラウドを使うのか

クラウドサーバでは共有リソースを使うため他のユーザの使用状況によってパフォーマンスが左右されます。さらにクラウド環境上ではコンプライアンスやライセンスの問題が発生するためクラウドを使用できないといった問題がありました。そのような理由からベアメタルサーバへの注目度が上がっていましたがスケーラビリティの問題がありました。そんな中AWSから2018年からスケーラビリティの問題を解決したベアメタルクラウドのサービス展開が開始し広まりました。そして他のクラウド会社も追随するようにベアメタルクラウドサービスを提供し始めました。

Azureでのベアメタルクラウドを使用したサービス展開

ではAzureにはどのようなベアメタルクラウドを使用したサービスが展開されているのか紹介します。
ベアメタルクラウドを使用したいという目的はおおまかに下記に分類されるでしょう。

  • ・独自の環境構築
  • ・VMware環境構築
  • ・DB環境構築

これらに対応したサービスは下記になります。

  • ・独自の環境構築→なし
  • ・VMware環境構築→Azure VMware Solution
  • ・DB環境構築→SAP on Azure

残念ながら現在Azureでは独自の環境構築ができるサービスは存在していません。Azure VMware SolutionでベアメタルにVMware環境を構築、あるいはSAP on AzureでベアメタルにSAP環境を構築するといったようにベアメタルのサーバをそのまま使用するのではなくベアメタルサーバに環境構築された状態の物理サーバを使用できるというサービスです。どうしても独自環境を構築したいという場合はAWSのEC2ベアメタルインスタンスというサービスがあります。Azureではまっさらなベアメタルが使えないのならば他のサービスでプライベートクラウドを借りる場合と何が違うのかと思うかもしれません。しかし、これらのサービスは他のサービスと違い柔軟な環境設定ができたり、オンプレミス環境からの移行を前提としたサービスが充実しています。そういった利点から特殊なオンプレミス環境のユーザがクラウド移行へ踏み切るためにこれらのサービスの需要があるといえます。
ではAzure VMware SolutionとSAP on Azureについて紹介します。

Azure VMware Solution

これはオンプレミスで使っていたVMware環境をそのままAzure上で動かすことができるサービスです。ベアメタルインフラから構築されたVMware vSphereベースのプライベートクラウドを提供します。VMwareネイティブで動かせることができるためこれまで使用していたオンプレミス環境との高い互換性があり、その上クラウドの利点も享受できるようになります。さらに既存のシステムを止めずにIPアドレスを変えずにリアルタイムマイグレーションができるという機能もあります。これは絶対に止められないシステムの移行をクラウドへ移行することを検討できる利点です。さらに管理、運用はMicrosoftが行うためユーザはワークロードの開発と実行に専念できます。

SAP on Azure

こちらもオンプレミス環境で使っていたSAPアプリケーションシステムをAzure上で運用できるというものです。その中のSAP HANA on AzureではSAP HANAデータベースをスケールアップで最大24TB、スケールアウトで最大60TBもRAMを備えたシステムを数分で作成可能です。そこで提供されるハードウェア構成にはSAP TDI認定のベアメタル高パフォーマンスサーバーが提供されます。SAP HANA on Azureのさらに詳しい説明はこちらをご参照ください。

最後に

以上ベアメタルについての概要とAzureにおけるベアメタルクラウドサービスの紹介をしました。ベアメタルサービスは普通のパブリッククラウドよりも費用がかさみますし、ベアメタル以外にもプライベートクラウドを使用することで解決することもあるかもしれません。どのような位置づけでベアメタルクラウドサービスを使用するのかを検討することが大事でしょう。

AWSはベアメタルクラウドを先行して導入していただけあって他社に比べて充実しています。GCPも負けじとサービスの拡充を行っているためその2社に対してMicrosoftはどのよう差別化をはかるのか。今後のサービス展開に注目です。

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