Azureと消費税

Azureと消費税

はじめに

世界のクラウドインフラは莫大な普及をとげ、規模の大きなWEBサービス開発においては、現在はほぼ間違いなく何かしらのクラウドインフラが利用されています。

しかしながら、AzureやAWSに代表されるクラウドサービスは決して敷居の高いものではなく、むしろ私たちの身近に存在するものでもあり、企業だけではなく、個人としても使うことのできる手軽さを持ち合わせています。その手軽さ故に、インフラの知識というのはエンジニアにおいての基礎教養となってもおかしくありません。

ただ、知識のないものに手を出すというのは一定の恐怖心がつきもので、料金がかかるとなれば尚更です。管理の方法がよく分からずに莫大な料金が請求される不安もあるでしょうし、きっちり金額計算していても、消費税のことを考慮し損ねて思わぬ料金を請求されるといった懸念もあるでしょう。こういった懸念は、事前に知識をつけておくことで解消することが可能です。ただ、色々調べるために時間を要するのは「手軽さ」という観点では長所を潰してしまっていることになります。

本記事では、Azureの料金・消費税に着目して、Azureの使用にあたり消費税はどのように課されていくのかといった、これからAzureを始めようと考えている皆さんにとって最初に一歩を踏み出すためのきっかけとなるよう執筆しています。

Azureを始めるのは怖くないんだということを学び、Azureを是非活用していただきたいと思います。

Azure とはそもそも何?

Azureは、マイクロソフトが提供している代表的なクラウドサービスです。主にさまざまな開発者向けのサービスを中心に提供しています。似たようなサービスには”AWS”などが存在します。

クラウドサービスといっても様々な種類があり、一般的にイメージされるような仮想マシン、サーバといったものだけではなく、「認証管理」、「機械学習」、「IoT」から、「災害対策」など、多種多様なサービスがあり、また今現在もサービスの種類は増え続けています。またサービス1つとっても、数人程度のユーザーを想定した小規模のものから、何百万人ものアクセスが想定される大規模サービスまで対応しており、ユーザーの幅広いニーズに応えることができるようになっています。

Azureでは特に、ビジネス上の課題に対する対応に強く、サービスもさらに拡大を続けています。

Azureでは、「従量課金性」が採用されており、サービスのユーザーがその時々で必要なサービスを、必要な分だけ、いつでも利用することができ、その利用した量に応じて課金される仕組みになっています。便利な反面、どれだけ利用をしたかを自身で管理しきれていない場合は思わぬ料金請求をされかねない危険もあります。

消費税 とはそもそも何?

皆さんは「消費税」というものをご存知でしょうか。税金に関してはあまり関心がなく、存在を知らないという方もいるかもしれません。しかしながらこの「消費税」は私たちの身近に存在する税金であり、Azureを利用する際にも意識をしていなければならないものなので、この機会に「消費税」についても学習しましょう。

間接税 と 直接税

消費税について学習する前に、税金の種類についてを見ていきましょう。

そもそも税金は大きく、「間接税」と「直接税」に分けられます。

  • 間接税

    税金を負担することになる人 と 税金を納める人 が別の人である性質を持つ税金

  • 直接税

    税金を負担する人 と 税金を納める人 が同一人物である税金

消費税

消費税をわかりやすく説明すると、皆さんが何かモノを購入したり、サービスを受けたりするときに支払う税金のことです。モノやサービスの対価とは別に国に治める税金であり、誰もが一律で公平に、同じ税率で負担するのが特徴です。

国税庁によれば、「国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引」に課税されるものであり、事業としての対価でなければ消費税は発生することはありません。また、国外においても日本の消費税が課されることはありません(もちろん取引を行った国に消費税が存在するならば、その国のルールに従って課税されるため注意しましょう。)

そして、「対価を得て行われる取引」とは、資産譲渡、資産の貸し付け、亦無の提供に対する給付を受け取ることです。

日用品や食品、生活必需品の購入といったものから、不動産の貸付による家賃、エンジニアとして仕事を行い、その労働対価を受け取るような取引にも消費税がかかっています。

また、商品販売におけるサ-ビス品、自社製品を得意先に無償で贈与した場合、対価が発生していないことから「対価を得て行われる取引」とはみなされず、課税されることはありません。

生活必需品や食品などはこれらのものは生きていくためにどんな人もある程度購入していくため、消費税は景気に左右されることがあまりなく、国はある程度一定の金額を集めることを想定することが可能です。

しばしば消費税率の上昇が国内で議論が上がるのは、どれだけ税率が上がろうとも消費税は一定の分集まることが期待されることが背景にあるためです。

この消費税は、「間接税」にあたります。そのため脱税などで税金をごまかされるパターンも非常に少ないと言えます。

個別消費税

国で指定されているある一定のサービスや物の消費に対しては、通常の消費税とは別に「個別消費税」と称される税金が課せられます。

例えば、「たばこ税」「酒税」「ガソリン税」といったものが挙げられます。

なお、Azureはこちらの個別消費税には該当することはありません。もしかしたら将来「クラウド税」といったものが新しくできるかもしれません。

どうしてAzureには消費税がかかるのか

Azureは、米国企業であるマイクロソフトのサービス

さて、前述したとおりAzureはマイクロソフトが提供しているサービスです。マイクロソフトは、アメリカ合衆国のワシントン州に本社を置くソフトウェア開発の企業です。

当然ながら日本企業ではなく、Azureももちろん日本発のサービスではありません。

ここで1つの疑問が生じます。

「国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引」に課税されるのが消費税であるならば、海外に拠点があるマイクロソフトは国内における取引ではないため課税されるのはおかしいのではないか?

国外サービスに対して日本の消費税が課されています。それなのに何も疑問に思わず料金を支払い続けているのはいかがなものかと思った方もいるでしょう。実際のところはどうなのでしょうか?

国境を超えたサービスに対する消費税

国外サービスに日本の消費税を課しているマイクロソフトを訴える準備をするその前に、消費税の国境を跨いだ取引に関する点を確認しましょう。

国税庁の「No.6118 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について」によると、「電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が国内の事業者・消費者に対して行われるものについては、国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されることとされています。」とあります。

つまり、Azureの場合にはインターネットクラウドサービスという様々なサービスの提供という性質から、「電気通信回線(インターネット)」を介して行われるサービスの提供であり、ここから「電気通信利用役務の提供」に該当すると言えます。

そして、「役務の提供が国内の事業者・消費者に対して行われるもの」という点はつまり、「日本でAzureを使った場合、それは課税対象ですよ」というように読み替えることが可能です。

確かにマイクロソフト自体はワシントンの企業ですが、「国内、国外いずれから行われるものも国内取引として消費税が課税されること」とあることから、サービスの提供者が日本であろうとアメリカであろうとどこにいようとも、サービスを受ける人(=つまりAzureの様々なクラウドサービスを利用する人)が日本国内に居さえすればそれは消費税が課されるということになるのです。

以上のことから、Azureのサービス利用に対して消費税が課されることは何の問題も存在せず、当然に課税対象となり得ると言えるのです。

Azureを利用するために海外移住するのはアリ?

日本ではAzureの利用には一律の消費税がかかるということはおわかりいただけたと思います。

そこで、日本における消費税負担を避けるために海外移住するという選択肢を取るのはどうでしょうか?

本人がどういう考え方をするかによりますが、移住先の税金について詳しく学習した上で移住の選択をした方が良いでしょう。

例えばマイクロソフト本社のあるアメリカに移住する場合を考えてみましょう。

アメリカには日本のような国家全体における「消費税」という概念は存在しません。代わりに、連邦法人税、州税、地方自治体に支払う税といったものに細かく税金が分かれており、その内容も済む自治体や州によって大きくルールが異なってきます。

一言で言えば、日本の一律税よりも複雑であるということです。

税金を抑えるのが目的だったのが、気がつけば各方面からの税金に追われて余計に負担が増えてしまったということではお話になりません。

まとめ

事前に税金のことを確認することは、料金の支払いにおいても、Azureの様々なサービスを利用するにあたっても必要なことです。

普段からAzureのサービスを利用するにあたってどれくらい課金されるか常にアンテナを張ってさえすれば、消費税の計算においても間違うことはなく、健全にAzureを利用することが可能となるでしょう。

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