ホテルにおすすめのデータ分析ツールを紹介

はじめに

データを活用しマネジメントを行っていく企業が増えており、大きなデータを保有し、データ分析によって大きな効果が得られるとされているのが、ホテルを始めとする宿泊施設です。全国展開やオンライン予約等の予約方法の多様化により、データは膨大となり、管理や分析が自力では困難になっているホテルも多いことでしょう。今回は、ホテル事業におけるデータ分析におすすめのツールと導入例をご紹介いたします。

データ分析ツールと導入例

QlikView

QlikViewは、Qlik Technologiesが提供するデータ分析ツールです。直観的で分かりやすい操作性と、分析データがリアルタイムで表示できる高速性が特長です。

QlikViewの主な機能

経営ダッシュボード

ツールにデータを入力するだけで、自動集計を行い、整理・一覧化できる機能です。売上達成比や単価、ホテルの新規客の人数といったデータの計算を行うことができます。このダッシュボードを活用することで、日々変化するビジネスの状況をつかむことができ、数値分析に基づいた客観的な判断を行うことができるでしょう。

稼働率の分析

ホテルが用意した客室が期待通りのペースで稼働しているかどうかが一目でわかる機能です。Qlikviewはリアルタイムでの分析が可能なので、シーズンの途中で、用意した客室数と空いている客室数を分析し、今後用意する客室を増やすか減らすかといった提供数の判断に役立てることができます。

CPM分析

CPM分析とは、カスタマー・ポートフォリオ・マネジメントの略です。ホテルにおいては、宿泊実績のある顧客を属性ごとに10グループに分ける手法です。それぞれのグループの属性に合った戦略やアプローチを企画する際に役立ちます。Qlikviewは宿泊客情報を分析し、宿泊回数や設定した期間内の宿泊頻度などによって10の属性に分類し、集計表を自動作成することができます。CPM分析は顧客と長く、繰り返し取引を行う為の分析といえます。分析されたデータを用いて、離れてしまった顧客が多い場合は、また来てもらえるようにするための戦略を立てるなど、ホテルの顧客の特徴に合わせた企画立案が可能となります。

導入事例

センチュリオンホテルインターナショナルズの展開するホテルでは、QlikViewを導入し、データの有効活用を実現しています。PMS(ホテルの管理システム)や経理システムといった、ホテルの保有するデータをQlikView に集約することで、宿泊料金の設定を最適化することに成功しています。導入前は複数システムでそれぞれ管理されていたデータを、グラフや表に変換するためにExcelで加工していました。加工に時間を要してしまうことで、リアルタイム性に欠けてしまい、結果として勘や経験に基づいて価格設定を行っていました。QlikView の導入によって、加工の手間が省け、リアルタイムな分析が可能となり、需要に合わせた価格設定が実現できています。

メトロエンジン

メトロエンジンとは、メトロエンジン株式会社が提供するデータ分析ツールです。宿泊客の予約行動に関するデータを収集でき、AI(人口知能)によって適正な客室単価を算出・競合施設分析ができる特長があります。

メトロエンジンの主な機能

メトロレビュー

メトロレビューとは、ホテル宿泊後の宿泊者によるレビューを一元管理し、分析・見える化できる機能です。ホテルの予約時にオンライン予約を活用している人が増え、宿泊客獲得の為、複数の予約サイトに登録しているホテルも多くなっています。レビューを分析する際に、今まで手作業でデータを集約していた手間を、メトロエンジンのAIで自動集約することが可能です。また、どのサイトからの口コミが多いかといったソースごとの調査や、肯定的な口コミ・否定的な口コミの両方の統計を算出します。メトロレビューの分析結果から、宿泊客に対するホテルの強み・弱みを見つけ出すことができます。

競合施設分析

メトロエンジンのデータ収集技術を用いて、指定した競合施設の情報を分析することができる機能です。メトロエンジンのAIは、各ホテル予約サイト等から競合施設の客室料金を収集し、自社のホテルと比較を行い、自社より高い場合は赤、低い場合は緑といったように一目でわかりやすい一覧を作成することができます。また、データは自動更新となるため、これまで情報を収集し、加工し、更新するまでにかかった膨大な労力を大幅に削減することが可能です。

イベントデータ収集

コンサートや学会、スポーツイベントといったイベントデータを、メトロエンジンのAIが収集し、カレンダー形式やグラフ、地図で表示ができる機能です。ホテルの周辺情報は、宿泊需要に大きな影響を与えます。数ヶ月先のイベントに関する会場の場所から動員数まで収集することできるため為、機会損失を防ぐことが可能です。また、将来予測が可能になったことで、中期的な事業計画の判断も客観性を保てます。競合施設分析と合わせて分析を行うことで、イベント開催時の他ホテルの動向も調査でき、宿泊客の確保の為の戦略を立てることも容易となるでしょう。

導入事例

メトロエンジンは、ホテルモントレグループや東急ホテルズ等、多くのホテルで導入が始まっています。導入した大阪のSホテルでは、これまで競合分析まで手が回らない状況であり、稼働率が高い→調査→イベントの確認と、後から重要な需要創出機会を気付くことが多かったという課題がありました。導入後は、機会損出を防ぐことができ、自社施設が増えた際にメトロエンジン株式会社が提供するレベニューマネジメントシステムの導入も検討しています。

おわりに

今回はQlikViewとメトロエンジンをご紹介いたしました。データサイエンティストなど、データ分析を専門とする人材がいなくとも、ツールやシステムを利用することで容易にデータ分析をすることができます。現在では、ホテルや宿泊事業に特化したデータ分析ツールも増えていますので、ぜひこの機会に検討してみてください。ありがとうございました。

次の記事

データ分析結果と比較