働き方改革「リモートワーク」に潜むデメリット

<1.概要>

<1.語源>

「リモートワーク」とは、言葉の意味や定義は「テレワーク」とほぼ同じであり、ワークスタイルは「テレワーク」と同じであるとみていいです。

<2.導入までの軌跡>

コロナ渦をきっかけに働き方改革の一環として導入され始めた「リモートワーク」こと、「テレワーク」ですが、導入に至るまでは最近からではなく過去にも導入されていたことがあります。

最初は1984年から87年に、米国で普及していた勤務形態を参考にして導入していく企業が多く存在しました。目的は結婚や出産のタイミングで退社してしまう女性社員にかかる負担軽減を図るために導入していました。しかし、あくまで活用に至るかの実験的な導入であったため普及に至るまではありませんでした。

次の導入時期は1988年のバブル経済真っ只中、全国で地価が高騰していた時代にあります。各企業は都心を中心にオフィスを構えようとしますが、企業維持にコストがかかる上、大人数の従業員を確保できるだけのフロア確保が難しいことや通勤時間がかかる等の理由から導入をする企業が多くありました。しかし、またインフラ普及はおろかパソコンすら普及していなかったため、導入は困難でありました。

しかし、「サテライトオフィス」の普及は進んでいました。複数社が共同で利用できる執務スペースや事務サービスといったサポート体制が充実したオフィスが増えていきました。

1993年はバブル崩壊をきっかけに、テレワーク導入の背景にあった地価や労働市場環境の変化によって取り組みが少なくなりました。しかし、新たなテレワークの形への模索は行われました。

98年以降から仕事でのパソコンやインターネットを利用するのが一般的になってくるとともに、再び注目を浴びるようになりました。この年代のテレワークは市場環境の変化に対応するための対策の一環としてではなく、BPRの一環としてより効率的な働き方を模索した結果として発生した背景に違いがあります。

2006年から2010年度までにテレワーク人口の倍増をを揚げたことにより、テレワークがより注目を浴びるようになりました。モーダルシフト施策等の解決手段としてではなく、インフラを活用した生産性向上の手段として普及を試みました。さらに、テレワークでの「IT新改革戦略」により、企業の構造は変化すると同時に「ワークライフバランス」の実現も行いました。

テレワークは、過去に幾度となく普及を試みましたが、いずれも勤務形態やインフラの普及の状況によって断念することが多々ありましたが現代において再び注目を浴び始めました。インフラも過去と比べてより発展した現代におけるテレワークでもいくつか懸念すべき問題があります。

<2.リモートワークが抱えるメリット・デメリット>

新型コロナウイルス感染防止策の一環として政府は、企業側に強く要請により多くの企業が導入しております。以下はリモートワークにおけるメリットとデメリットになります。

<1.メリット>

  • 1.人材確保と雇用継続
  • 現代における社会人それぞれが多様な働き方を求める中で、介護や育児といった事情を抱えている社会人がいます。事情を優先するためにやりがいを持って尽くした会社をやめるという苦渋の決断を強いられることがあります。そのような決断を強いることなく、リモートワークは仕事と育児や介護を両立でき、なおかつ企業側としては有力な人材を逃すことなく業務を全うすることができます。

  • 2.通勤やオフィス維持等のコスト削減
  • リモートワークは基本拠点を職場から自宅へと変わることで職場までの通勤時間や費用はともにゼロとなり、オフィスの使用にかかる各種維持費や光熱費も抑えられます。

  • 3.非常事態でも業務継続と早期復旧
  • リモートワークの導入により、台風や地震といった自然災害、インフルエンザや新型コロナといった感染症によるパンデミックによる非常事態に陥っても、事業継続と早期復旧が可能です。

<2.デメリット>

リモートワークのメリットは企業側と労働者側の両方にメリットがあり、新しい働き方として導入をするところも増えてきています。しかし、導入に当たり対応、考慮しておくべき「デメリット」が必ず存在します。

  • 1.情報漏洩のリスク
  • リモートワークをする場合、どうしても社内の重要な情報を社外に持ち出して仕事をします。今はクラウドを利用して社内ネットワークに接続して仕事をします。しかし、社外で仕事をしていることに変わりはありません。必然として、第三者による覗き見やログイン情報の漏洩による不正アクセスなどのリスクを考慮しておくことが大切になってきます。

  • 2.情報の共有にタイムラグが生じる
  • クライアントからの緊急対応やメンバー間でのトラブル等が同じフロアにいれば即時対応と情報の共有も同時に可能です。しかし、リモートの場合は、情報共有からはじまり、次に対応するというワンステップ踏んでからトラブル解決に繋げます。それにより、対応が遅れ、二次被害が起きてしまう場合があります。

  • 3.評価基準の偏り
  • 作業者のプロセスが見えないリモートワークにおいて、企業側が下す評価は「成果」でしか判断材料がないため、不平不満を少ながらず感じる方も出てくる恐れがあります。

  • 4.コミュニケーション機会の減少による孤独感と効率低下
  • チームで仕事をしていくうえでコミュニケーションは最も重要なことです。特に情報の共有も手早く、相談や活発な意見交換もでき効率も上がります。しかし、リモートワークは会話をする機会が減るどころか「孤独感」で精神的に追い詰められたりと効率も悪くなり、会話をする機会もないまま1日を過ごすなんてこともあります。

  • 5.生産性の低下
  • 自分が集中できる環境下で仕事ができるリモートワークですが、場合によっては生産性の低下を招いてしまう場合があります。陥りやすい傾向としては自己管理を疎かにしがちな方に見受けられます。

  • 6.運動不足
  • 通勤や外出がめっきり減るため、運動不足による健康状態に支障をきたし体調不良に陥る場合があります。

<3.対応策がリモートワーク成功への鍵>

<1.導入の失敗を避けるためにはどうするか>

「リモートワーク」の導入により労働者、企業にとってWinWinなメリットがある裏で、対応策を講じておく必要があるデメリットが多数存在します。

メリットとデメリットのそれぞれが抱える事情を明確に把握した上で導入をしていくことが大切になります。また、導入には「経営陣」の独断で導入を進めていくのではなく、社員の意見を取り入れながら会社全体が一丸となって導入に取り組むことが大切です。また業務プロセスの改革が伴うため、リモートワーク導入の際は各部署の代表者を選出して実施して、順次リモートワークを部署ごとに実施していくことで一斉に改革を行わずに済みます。また中には導入ができない場合があります。その場合は導入ができる部署との格差を生まないための対応が問われます。

<2.労働者側が抱えるデメリットへの対応>

リモートワークの導入時には、企業側が用意したシステムやツールを使用して業務連絡から情報の共有を行って常に状況の把握をします。それにより、コミュニケーションの機会は生まれ、業務効率の低下を防ぐことが可能となります。

また、生産性や集中力が欠けることは、多少なり誰にでも起こります。ましてや自宅で仕事をするってなると周りに物が散らかっているとそれが気になって仕方がないっていう方もいらっしゃいます。

意識改革だけでこの問題の解決はまず不可能です。ですので、まずはデスク周りから整理整頓をして作業スペース、環境の整備から始めてみましょう。リモートワークはいわば「自宅=オフィス」になるわけですので、まずは環境から整えていきましょう。

次に1日のタイムラインを組んで生活リズムを一定に保つことです。通勤時間がない分、つい気が緩み切ってしまい集中力の維持は難しいです。あくまで職場が自宅になったとはいえ、仕事をすることに変わりはありません。可能な限りタイムラインを固定化することで生活リズムが作られると同時にモチベーションの維持にも繋がります。

<4.まとめ>

コロナ渦ということもあり再び注目をあびる「リモートワーク」の導入は、メリットがある反面、多くのデメリットを抱えているため中々導入に踏み込めない企業も多く存在します。しかし、業績の向上の有無は会社側の体制と社員の意識次第で変わってきます。従来の働き方とはまったく異なるとはいえ、充実したインフラの基、「ワークライフバランス」をも重要視する現代だからこそ「リモートワーク」が根深く浸透する時が近づいてきています。

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