SharePointによるワークフローの実装手順と便利な使い方について

SharePointによるワークフローを理解しどのような事ができるようになるかを把握する事で様々なプロセスを効率化する事ができます。また、他のソフトとも組み合わせて利用することも可能です。この記事ではSharePointによるワークフローについてと実装の手順、他のソフトとの組み合わせにについて紹介していきたいと思います。

SharePointによるワークフローは、様々なビジネスやプロセスを効率化および自動化するプログラム済みのミニアプリケーションです。SharePoint ワークフローは、時間と労力を節約して、定期的に実行するタスクの一貫性と効率を確保するように設計されており、様々なワークフローがあります。署名、フィードバック、計画からトラッキングまで、様々なワークフローがあります。
SharePoint Designerにより、コードを書かなくても実装できることが特徴です。

多くのクラウド型ドキュメントマネジメントシステムが、ユーザにはワークフローの設定をさせない構造になっている旧来型の設計思想を持っているのに対して、SharePointによるワークフローは、より権限を分散させてユーザ主体の実装ができるようになっており、そのためのツールがSharePoint Designerです。

SharePoint DesignerはSharePointのサイトやアプリケーションを作成してカスタマイズするために使用される Web/アプリケーション設計プログラムです。SharePoint Designerを利用する事でデータの多いページを作成して強力なワークフロー対応できるソリューションを構築しサイトの外観などもデザインする事ができます。

そのため、開発者の役割も、SharePoint Designerでのワークフロー作成をするユーザのガイド役および、ここぞというときのワークフローの作成と、2つの役割があると考えるとよいでしょう。それぞれの役割と知っておきたい基本的な知識について、以下でご説明します。

1.ユーザも実装可能なワークフロー

Microsoft SharePointには、ワークフローの作成が簡単にできるツールとしてSharePoint Designerがついています。単純なワークフローであれば、コードを書くことは不要で、SharePoint Designerにより作成することができます。

なかでもいちばんシンプルなのは、すでにSharePointに付属しているSharePoint Designerテンプレートを利用しワークフローを実装する方法です。

シンプルなワークフローであれば、IT部門がフォローすることなく、ユーザ側で設定・実装できます。コラボレーションワークフローを作る場合や、分岐が複雑であるワークフローなどを作成する場合は、Visual Studioによる開発工程を行うと自由自在にワークフローを作成することができます。

2.SharePoint Designer ワークフロー実装手順

新規のワークフローの基本的な実装手順を紹介します。この手順をユーザのリードのために最低限知っておいてください。SharePoint Designerは、SharePoint Onlineの公式サイトからダウンロード可能です。ダウンロードしたSharePoint Designerを起動すると、SharePointが利用されているサイトを入力する画面が出てきます。そこにワークフローを設置することになります。

承認対象のコンテンツの設定

URLで指定するサイトコンテンツは、Microsoft 365の文書一つ一つにワークフローを設定することも可能ですので、例えばOfficeで起案した契約書のような文書を指定することもできます。また、Webページの形式でももちろん設定できます。他のワークフローの一連のアクションを承認対象とすることにより、業務の自動化目的で利用することも可能で、工夫次第で業務の効率化のために広く使うことができます。

WebまたはイントラのURLを入力し、サインインすると、「ドキュメント」のボタンが出てきます。ここから、ドキュメントを新規作成すると、リボンメニューが登場します。ここからリスト作成をしていくのですが、「リストワークフロー」から作成を始めます。リストワークフローから「リストの作成」と記載されたメニューが出てきますので、ワークフローの名前の入力、簡単な説明をつけ、プラットフォームとしてSharePoint Designer (お使いのバージョン)を選択してさらに進みます。

アクションの設定

アクションないしワークフローテンプレートを設定します。電子メールを送信して承認を求める、といったシンプルな承認フローを例にとると、選択するのは「電子メールを送信する」となります。あるいは、同じリボンメニュー中のワークフローの設定ボタンを押し、「承認ワークフロー」をテンプレートとして設定することでも作成が可能です。
選択したアクションの指示に従い、送信先・文面を設定するか、テンプレート内のタスクの指示に従い、メールの送信及び承認者の指定を行い、最後に保存ボタンを押すと、ワークフローが設定完了となります。

なお、テンプレートに動作を関連付ける関連付けフォームがあり、一度作成したワークフローはテンプレートとして呼び出すことができます。

3.さらに便利なワークフローを実装するには?

ユーザがSharePoint Designerで作成できるワークフローは、単純なシークエンシャルワークフローにとどまります。例えば、申請者→承認者1,2,3がいて、どこかに差し戻しが入った場合、申請者に戻されるワークフローです。

Visual Studioでできるワークフローと実装の手順


ステートマシンワークフローの例

アクションが並行して複数あるワークフローは、SharePoint Designerではなく、Visual Studioで作成します。
これを、承認者1,2の間で戻すようにする、あるいは承認者2,3の間で戻すようにする、といったステートマシンワークフローを作るには、カスタムワークフローをVisual Studioで作ります。
並行するレベルに複数人の承認者がいる合議型のワークフローも、ワークフローをグルーピングすることによって実装可能になります。

Visual Studioによるワークフローの実装手順は、単純化すると、次の4つのステップにより構成されます。

  • アプリプロジェクトの設定・・・アドインを作成する形式でアクティビティを設定します。
  • ワークフローの整理・・・アクティビティをグルーピングします。
  • 注釈の作成・・・アクティビティにC++などを使って注釈をつけます。UIにコメントを表示、承認時の注意事項などを表示できるようにします。
  • リストに値を入力・・・申請者・承認者をあらかじめ設定するための値を入力します。

Visual Studioのアクティビティの設定は、メニューの「プロジェクト」から行い、作成したアクティビティをセグメント化して整理するのは中央のドラッグアンドドロップ画面、「シーケンス」とあるボックスの並べ替えによります。

申請者・承認情報の入力について

ところで、申請者・承認者情報は、ワークフロー作成の際、あらかじめ入力することが必要です。SharePoint Designerでは、一つ一つのワークフローに申請者・承認者を設定して作成することとなりますが、Visual Studioでは、申請者・作成者を権限と同時に入力し、ワークフローにあった申請者・作成者を一括設定することができます。

一括設定の方法として、アイテムから値を収集するワークフローを作成する方法と、 LookupSPUserアクティビティを使用して、ユーザのログイン名や表示名を取得する方法の2種類があります。

4.SharePointとTeam, Flow, Microsoft 365と組み合わせたワークフローと業務の効率化

SharePointで作成するワークフローは、Microsoft 365と組み合わせると、ドキュメント単位でワークフローを実装するのに大変便利であり、さらに一歩進めて、業務を自動化することにも利用可能であることはすでにご紹介しました。

しかし、さらに、Microsoft Teamとの組み合わせにより、タスク割り当て・スケジューリング・承認申請・承認まで一貫した業務管理をするためのワークフローを作成することも可能です。

最新のMicrosoft 365にはPower Automate(旧Flow)というTeam、Microsoft 365向けのワークフロー作成サービスが付属しており、SharePointのワークフローを「トリガー」として設定すると、さらにワークフローを設定することが可能になっているのです。

その際の簡単な手順もご紹介しておきます。

  • SharePoint側でのリスト作成・・・新規作成からリストを作成、リストを保存しておきます。
  • Power Automateツールを使ったフローの新規作成・・・「一から作成」メニューボタンを押します。
  • トリガーを選ぶ画面が出てきますので、SharePointを選択します。
  • アクションとなるトリガーを次の画面で選択します。
  • リストを作ったサイトのアドレス・リスト名を入力します。
  • 承認アクションとしてApprovalコネクタを利用し承認者・承認条件を入力します。
  • 最後にメール送信をアクションとして設定、保存ボタンを押します。

まとめ

この記事ではSharePointのワークフローについてと実装する手順、他のソフトとの組み合わせについて紹介しました。
SharePointのワークフローは、ユーザーにも作成可能なシンプルなフロー、IT部門が詳細な設定を行い、申請者・承認者をあらかじめ決めておくものの2種類があり、それぞれ業務に合わせて、あるいは管理コストを勘案して作成することができます。
さらに、Teamとも組み合わせた便利な使い方があり、こちらもユーザーに設定してもらうことも可能です。IT部門の負担を減らしつつ、社内全体の業務を効率化することも可能です。

SharePointによるワークフローを理解し、どのようなことができるかを理解する事で様々なビジネスやプロセスを効率化および自動化し、時間と労力を節約することができます。これらの便利な使い方を積極的にユーザにも知ってもらいながら実装を進めるようにしましょう。

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