組み込み系エンジニアに必要なスキルと資格

組み込み系エンジニアとは

組み込み系エンジニアとは、家電や機器など独立した機械の中に組み込まれたコンピューターを動かすためのシステムを作るエンジニアの事です。ソフトウェアの開発が中心ですが、ハードウェアの開発も行うことも稀にあります。例えば洗濯機を例にとると、「洗濯機の中の水が〇〇Lを超えたら〇〇分間洗濯槽を回転させる」などの仕組みを作っています。このように、普段当たり前のように動いている家電や機器も、組み込み系エンジニアのシステムによって動いているのです。家電の中にもマイクロコンピューターといわれる小型のコンピューターが搭載されており、これが機器を制御しています。このマイクロコンピューターは普通のパソコンほど処理速度と容量もないので、組み込み系エンジニアはよりシンプルにより低コストなシステムの開発に奮闘しています。

組み込み系エンジニアの需要が伸びる理由

組み込み系エンジニアはこれから需要が伸びていくと言われています。もちろん今まで通り、家電などのシステム開発もあるのですが、IoTの普及というのが1つの大きなキーワードとなります。これからなぜIoTが普及するのかについて解説していきます。

IoTが普及する理由

IoTとは「Internet of Things」の略で、モノがインターネットに接続されている事を言います。そもそもこのIoTという考えは、90年代から提唱されはじめた「ユビキタス」という概念が始まりと言われています。ユビキタスの段階では、モノを通じて誰もがインターネットにアクセスすることを目的としていました。そこからさらに1歩進んだ考え方をしたのががIoTです。このIoTは5G通信が実現する事で真価を発揮します。5Gの特徴は高速、同時多接続、低遅延です。家がIoT製品だらけになっても、5G通信ならば遅延も起きずに高速で使えます。通信で管理する自動運転車も5Gなしでは誤差や遅延が大きすぎて実現できません。このように、5G通信の普及によってIoT製品はより人気を増して、無くてはならない生活必需品のような立ち位置になると予想されています。よって、家電やロボットの制御システムを開発する組み込み系エンジニアの需要はこれから大きくなると推測できます。

組み込み系エンジニアの年収

組み込み系エンジニアの正社員の平均年収は20代で400万、30代で500万、40代で600万ほどになります。他のエンジニアと比べて特別高いという訳ではありませんが、会社員全体の平均と比べるとやや高めの傾向となります。ただ、将来性や需要の増加見込みがあるので、これから待遇が良くなっていく可能性は十分にあるでしょう。正社員以外にもフリーランスという働き方もあり、組み込み系エンジニアのフリーランスだと月単価50万円~80万円程度の案件が多くなります。より専門性の高い業務であれば100万を越える事もあるようです。なお、フリーランスとして独立する際には、組み込み系エンジニアは5年ほどの実務経験があるのが望ましいと言われています。

組み込み系エンジニアに求められるスキル

組み込み系エンジニアには多種多様なスキルが求められます。なんのスキルもない人が簡単に出来る仕事ではありません。これからどのような知識が必要となってくるのかについて解説していきます。

プログラミングスキル

マイクロコンピューターにシンプルなシステムを作ると言っても、プログラミングのスキルは必須です。特に組み込み系エンジニアが使う言語はC言語、C++、アセンブリという言語です。特にC言語は汎用性の高い言語ですので、身につけておくことで将来の幅が広がるでしょう。

コンピューターの仕組みに関する知識

C言語やアセンブリが必要ということは、データ格納やメモリなどのコンピューターに関する知識も必要となってきます。後ほど解説しますが、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験でこの辺りの知識の基礎は学ぶことができるので、組み込み系エンジニアへキャリアチェンジをしたいと思ってる人はこれらの資格の勉強をしてみるのも良いかもしれません。

電気・電子基盤に関する知識

組み込み系エンジニアとしてある程度経験を積んでくると、ソフトウェアの開発のみならず、電子基盤の設計も業務に含まれてくる場合があります。電気・電圧・抵抗といったものへの知識を深めると良いでしょう。

英語力

組み込み系エンジニアと英語がどのように関係するのか、と疑問に思う人も多いでしょう。プログラミング言語の多くは英語で書かれており、プログラマーはある程度の英語力が求められます。しかし、組み込み系エンジニアは他のエンジニアより英語力が求められます。その理由として、システムに使用する部品の多くは海外から取り寄せているということが挙げられます。部品を使用する際に必要なインストール手順が英語で書かれているのは良くあることです。よって、英語を身につけることでスムーズに業務を進めるようになります。

ソフトウェア・ハードウェアの知識

組み込み系エンジニアは他のエンジニアと違い、ソフトウェアとハードウェア両方の知識が必要とされます。他のエンジニアもソフトウェアの知識は必要となりますが、組み込み系エンジニア独自で必要となる知識があるということをこれから解説します。使用する言語自体はC言語などで他のエンジニアも使用するのですが、組み込み系エンジニアはスタートアップルーチーン・リアルタイムOS・割り込みなど、独自の技術を用います。単にC言語を勉強するだけでは足りないので、このあたりの知識も身につけるとよいでしょう。次にハードウェアの知識が必要になる理由について解説します。ハードウェアは外部企業と連携して開発を行うことが多いのですが、ハードウェアの設計書、仕様書が中々あがってこないということがよく起きるのです。こうした時、組み込み系エンジニアはハードウェアの回路図面だけを参考にしながら設計や機能見当を行わなければなりません。よって回路図面を読めるくらいにハードウェアの知識も必要となるのです。

組み込み系エンジニアになる上で役立つ資格

組み込み系エンジニアは特に資格が必要というものではありません。だからこそ自分のスキルを示す資格があると転職時などに有利に働くことがあります。これから、組み込み系エンジニアの業務に活かせるオススメの資格について解説していきます。

基本情報・応用情報技術者試験

基本情報技術者試験・応用情報技術者試験はIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営している国家資格です。プログラマーの仕事をする上で必要な知識が網羅されており、サーバー、プログラミング、ハードウェアなど幅広いIT知識を求められます。大手sIerなどでは入社前の課題で応用情報技術者試験の取得を出すケースもあるようです。そのくらい王道の人気資格でもあります。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験

エンべデッドシステムスペシャリストは基本情報・応用情報技術者試験と同じくIPAが主催している国家資格です。この資格はより組み込み系エンジニアに向いている資格です。その理由は「組み込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行うもの」を対象とした試験だからです。ただ、これは初心者向けの試験ではなく、実務経験が10年以上ある中級者や上級者向けの試験となっているため、実務知識がない状態で受けようとしないほうが良いでしょう。実務経験をしっかり積んで、さらにキャリアアップをしたい人は是非検討してみるのが良いでしょう。

ETEC

ETECの正式名称は組込み技術者試験制度という資格試験です。この試験は一般社団法人組込みシステム技術協会が実施しています。エンベデッドシステムスペシャリスト試験と違ってこの試験は初心者から中級者向けの試験となっています。組み込み系エンジニアに興味があって、どのような勉強をするのか試してみたい、といったような人に向いています。または、組み込み系エンジニアに内定をもらって入社前に取っておくと良い資格という位置でもあるでしょう。ETECの試験の特徴は合格・不合格といった判定方法ではなく、試験結果を元にA〜Cレベルという風に判定される点です。受験科目はエントリレベルとミドルレベルの2種類を選択することができます。

OCRES

OCRESはOMG認定組込み技術者資格試験プログラムが正式名称です。この資格は世界130ヶ国以上で実施されている資格で、グローバルな資格です。この試験は特にUMLという知識を問われることが多いです。UMLとはソフトウェアを形式化するためのモデリング言語のことです。試験を実施しているのはUML教育研究所という民間の機関ですが、信頼度は高い資格となっています。
試験はファンダメンタルとインターメディエイトとアドバンストの3つに分かれており、上位資格の受験には下位資格の取得が必要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。これまで組み込み系エンジニアとはどういったものかという所から組み込み系エンジニアが伸びる理由や、求められるスキル、そして役に立つ資格まで解説してきました。エンジニアには多種多様なキャリアがあります。もし、家電やロボット、IoTなどの内部の開発をしたいと思う人は組み込み系を目指すと良いでしょう。ただ、理系の知識が求められることもあるので、特に専門的な知識のない人がいきなり組み込み系エンジニアを目指すのはハードルが高いかもしれません。自分のやってみたいことや興味だけでなく、そのキャリアの将来性や難易度を考慮しながら、決めていくのが良いでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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