ゼネラリストとは

はじめに

ゼネラリスト(ジェネラリスト)とは保有している知識や技術、スキルが広範囲にわたる人のことです。対義語にスペシャリストがあり、こちらは専門分野や特定の領域に特化した人の事を言います。ゼネラリストは広く浅く、スペシャリストは狭く深くと覚えましょう。ちなみに、IT分野でいうゼネラリストとは「システムやプロジェクト全体を統括する人」または「IT業界に関するあらゆる方面で多くの知識と多岐にわたる技術や手段を持つ人」のことを指します。コスト面や実用性を考慮した上で、クライアントとコミュニケーションを円滑にし、SEや部下に的確な指示を与えるのも仕事の一つです。プロジェクトマネージャーを担うことが多い人物です。

求められること

幅広い知識

ゼネラリストには浅くとも幅広い知識が必要となります。必要な知識は以下の6つの分野です。

・プラットフォーム

・ネットワーク

・データベース

・アプリケーション共通基盤

・システム管理

・セキュリティ

それぞれ60%程度の知識が必要だといわれています。

求める人物像

好奇心旺盛な人

好奇心旺盛で、勤勉な方が向いています。なぜなら幅広い知見を得るために勉強が苦にならず、新しい知識を取り入れることに楽しさを見いだせる人が活躍できるステージだからです。

臨機応変に対応ができる人

プロジェクトの中枢を担います。あらゆる状況に対して臨機応変な対応が求められますので、頑固な人には向いていないかも知れません。

コミュニケーション能力が高い人

顧客や部下、上司とのすり合わせをしていかなくてはならないので、コミュニケーション能力は必須です。スペシャリストの人がゼネラリストを目指す時、ぶつかる壁の一つだと言われております。

統合力がある人

これが最も求められる要素です。顧客とのコストや日程の調整など相手の求める条件を正しく理解し、上手に話をまとめられる力は顧客満足度を高めるために重宝されます。

スペシャリストVSゼネラリスト

エンジニアの世界ではよく「スペシャリストになるべき」と言われております。システム開発において、プロジェクトマネージャー、設計エンジニア、プログラマー、テスターなど開発人材の役割はハッキリしています。これは一つの能力に長けた人材の方が力を発揮しやすい環境だからです。

しかし、現在では「スペシャリストよりゼネラリストを目指すべき」という声も上がりつつあります。それはエンジニアの業務が多様化していることが関係しています。

例えば、開発を担当するプログラマであっても、顧客との折り合いを求められたり、設計書の作成を担当したりすることは多々あります。将来的には、システム開発のモデルが進化することにより、業務の多様化がより顕著になってくるはずです。業務が多様化すると、一つの事に秀でたスペシャリストより、様々な業務をこなせるゼネラリストが求められるようになります。また、次々と登場する新技術に対する対応を求められることもエンジニアがゼネラリストを目指すべき理由の一つです。例えばIoTなどの新技術が次々と普及しており、システムを開発するエンジニアにも対応を求められています。スペシャリストとして特定の技術に特化してしまうと、その技術の需要が減った時、困る可能性が大きいです。

そして、これは未来の話になってくるのですが、AIによってプログラミングが自動化し、エンジニアの仕事が奪われないとは言い切れません。AIに仕事を奪われないためにはAIの不得意分野で活躍することです。例えば、顧客との折り合いといったコミュニケーション能力や、システム開発を新たな分野に適応させるといった創造力はAIには備わっていないことです。このほか、AIを味方につけることも考えうる方法の一つです。AIに関連したプログラミングを身に付けることで、AIが普及するにつれ需要が増し、仕事を取られないどころか新しい仕事を呼び込むことに繋がります。

育つために

上記でも触れていますが、ゼネラリストとして活躍するには臨機応変さやコミュニケーション能力も大事ですが、なにより「統合力」が必要です。しかし、統合力とは参考書や資格があるわけでもないし、どうやって身に付けたらいいのか分かりらないでしょう。そこで「人の話に耳を傾け、まとめること」を意識することが大切です。「そんなの分かっている」と思う方も多いでしょうが、専門家、上司、部下、顧客など様々な人の意見を聞き、話をまとめてゆく、これは結構大変なことです。自分だって忙しいのに、ああでもない、こうでもないという話を聞かなくてはならないのですから。割り切ってしまった方がよっぽど楽なのですが、そこをなんとか「まとめる」ことが統制力なのです。普段の業務やプライベートな時間で、人の話を聞き、そこから相手が何を求めているのかを見出す訓練をしてみましょう。

苦悩

ゼネラリストは人をまとめる大変な役割ですが、会社に絶対必要な人材でもあります。一方で、転職においてはスペシャリストより不利だという意見もあります。特に20代30代の若い世代では、スペシャリストは「何に特化しているか」「何を一生懸命勉強しているか」が分かりやすいので即戦力と判断され、転職や独立においては有利です。一方で、40代50代のキャリアを持つ方ならまだしも、若い世代のゼネラリストの転職は「このキャリアで何を成したのだろう」と、功績が曖昧なため、面接官は「即戦力」になるかどうか判断が難しいのです。資格を広くとる他、ディープラーニングを事業に活かすための知識を、保有しているかどうかを証明するG(ゼネラリスト)検定を取得することで、自分の実力をアピールできるチャンスに繋がります。

さいごに

前述で、ゼネラリストは若いうちは転職に向かないという話をしましたね。しかし「この会社が好きだ」「この会社についてゆく」と、気持ちを固めてらっしゃるなら、ゼネラリストへの進路はお勧めです。なぜなら、スペシャリストよりもマネジメントスキルがあることを買われ、上層部までの出世が見込めるからです。もし、自分にはどちらが向いているのか気になっている方は「自分には専門性がないが、マネジメントにはやりがいを感じる」「一つのことを極める方が好き」など、自身の性格に沿って考えてみてください。以上、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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