EC2のT3とは
はじめに
現在、AWS(Amazon Web Services)が普及する中で、「インスタンス」というキーワードをよく目にされるかと思います。
インスタンスとは、定義されたフォーマットから生成された、実態を持つ機器のことで、EC2という仮想サーバーは元になる仮想マシンやイメージは共通ですが、起動すると、1つ1つ固有に情報を持つインスタンスになります。
インスタンスには複数タイプがあり、それぞれ色々なフォーマットが用意されており、それぞれ特徴が異なりますので、その中でも、汎用タイプのTシリーズであるT3についてご紹介したいと思います。
Tシリーズとは
AWSのEC2のTシリーズの特徴は、CPU/Memのバーストできることが可能なのが特徴のインスタンスタイプです。
負荷が少ない時は「CPUクレジット」を貯めておく、突発的に負荷が高まった時には貯めていたCPUクレジットを消費して対応できることができます。ある瞬間だけ負荷が集中するといったことが多いWebサイトなどに適しています。
CPUクレジットとは
AWSのEC2サーバーをT3インスタンスで使用する際によく聞くのがCPUクレジットです。
CPUクレジットとは、T2、T3インスタンスに適用されるCPU能力のバースト継続可能リソースのことを指しています。
T2、T3インスタンスの場合、多くのコンピューティングパワーが必要な場合、自動的にCPU処理能力がスケールアップする仕様になっています。このスケールアップした状態を継続できる時間を「クレジット」という単位で管理しています。
スケールアップした状態は、あらかじめ蓄積されているCPUクレジット量を消費して行い、CPUクレジットを使い果たすと、最低保証ラインまでCPU処理能力が低下します。この最低保証ラインは「ベースライン性能」と呼ばれています。
CPUクレジットを使い果たした後、クレジットが使用されない限り、1時間毎に規定の割合でCPUクレジットを蓄積されていきます。
T3インスタンスとは
T3インスタンスとは、ベースラインレベルのCPUパフォーマンスを提供する次世代のバースト可能な汎用インスタンスです。
いつでも、必要な時間だけCPU使用率をバーストすることができる機能を備えており、T3インスタンスはバランスの取れたコンピューティング、メモリ、ヨットワークのリソースを提供し、使用中は一時的なスパイクが生じる中程度のCPU使用率を持っているアプリケーション向けに設計されているインスタンスです。
T3インスタンスは、ワークロードがベースライン性能未満で動作している時に、CPUクレジットを蓄積しています。得られたCPUクレジットごとに、T3インスタンスは必要時に1分間、CPUコアのフルパフォーマンスでバーストする機会が提供されます。
Unlimited モードを有効にすることで、T3インスタンスはいつでも必要なだけ長くバーストすることができます。
T3インスタンスの特徴
・低コストでバースト可能なCPUパフォーマンス
T3インスタンスは、汎用ワークロードを非常に低い低コストで実行できるように設計されています。T3インスタンスでは、一般的な多くにワークロードに対応するベースラインレベルのCPUパフォーマンスを提供するだけではなく、より高いCPUパフォーマンスが要求された時にベースラインを超えてバーストすることができる機能も提供しています。
T3インスタンスでは、クレジット方式を採用されており、CPUの使用量を管理されています。T3インスタンスでは、現在市場で購入できる他のバースト可能インスタンスとは異なり、ユーザーが必要な時に任意の期間で、高いCPUパフォーマンスを維持できます。
・AWS NITRO SYSTEM上に構築される
T3インスタンスは、従来の仮想化機能の多くを専用ハードウェアにビルディングブロックを豊富に取り揃えたAWS NITRO SYSTEM上に構築されています。
そのため、高パフォーマンス、高可用性、高セキュリティを可能にすると同時に、仮想化オーバーヘッドも削減されるようになっています。
・起動クレジットがない
T2インスタンスには、起動時またはスタート時に30クレジットを獲得しますが、T3インスタンスには起動クレジットがありません。
そのため、T2インスタンスは起動直後もある程度はバースト可能ですが、T3インスタンスの場合、起動クレジットがないため起動直後はCPU使用率が頭打ちになりやすいと言えます。起動直後の処理でCPUがバーストできず、T3インスタンスのパフォーマンスができない、あるいは固まってしまう場合は、一時的にT3インスタンスのUnlimitedモードを有効にする、起動クレジットが獲得できるT2インスタンスで起動する、他のベースラインパフォーマンスがより高いインスタンスタイプに変更するといった対応で解決できると考えられます。
最後に
AWSのEC2にはご紹介したT3インスタンス以外にも、多くのインスタンスタイプが存在します。EC2を検討されている方は、ご自身の使用用途、どれくらいの規模で使用するアプリケーションなのかなどを判断の基準にして検討されてはどうでしょうか。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。