Amazon EC2 でWordPressを構築する

はじめに

Amazon EC2とは

「Amazon Elastic Compute Cloud」の略称で、Amazonが提供するクラウドサービスの内のひとつで、仮想サーバーを提供しています。Windowsなど様々なOSに対応しており、複数のサーバーを作ったりスペックの変更にも柔軟に対応できるため、業務用でも利用されることの多い人気なサービスです。

WordPressとは

専門知識がなくてもブログやWebサイトを作成することができるもの、いわゆるコンテンツマネジメントシステム(CMS)です。

通常Webサイトを制作するにはHTMLやCSSなどの専門的な知識や技術を必要とし、コードを記述しなくてはなりませんが、WordPressの場合はプログラミングができなくてもWebサイトを作ることができるのでWeb初心者から上級者まで幅広く活用されています。

WordPressで作成したサイトをネット上で公開するためにはサーバーが必要になります。基本的にはレンタルサーバーを利用するのが主流ですが、今回はAmazon EC2を利用した場合の方法を説明します。

Amazon EC2を使ってWordPressサイトを構築する方法

1-1.AWSマネジメントコンソールから、「EC2」を開く

AWS マネジメントコンソールとは、AWSの各種サービスの設定ページに行くためのページです。まずはAWSアカウントを作成またはログインし、「コンピューティング」の項目から「EC2」を選択します。

1-2.EC2インスタンスの作成する

「インスタンスの作成」という項目下にある「インスタンスの作成」ボタンを押下します。

1-3.Amazonマシンイメージを選択する

Amazonマシンイメージ(AMI)とは、新たに立ち上げるサーバーのOSや各種ソフトウェアがパッケージ化されたテンプレートのことです。テンプレートがあれば、1から各種ソフトウェアのインストールをすることなく、簡単に新しいサーバーを立ち上げることが可能になります。ここでは、これから利用する仮想空間のパソコンの設定を行います。

まず「AWS Marketplace」を選択し、続いて検索バーにて「wordpress」と入力します。するといくつかのWord Pressのマシンが紹介されますが、今回は「WordPress Certified by Bitnami and Automattic」を選択します。
※「WordPress Certified by Bitnami and Automattic」は、Word Pressの動作に必要なPHPやMySQLなども合わせて導入してくれるパッケージになっているので非常に便利です。

選択後、利用する仮想マシンの価格表が表示されますので、問題がなければ「Continue」ボタンを押下します。

1-4.インスタンスタイプを選択する

「手順2:インスタンスタイプの選択」画面にて、無料プランを利用する場合は「t2.micro」を選択して「次の手順:インスタンスの詳細の設定」へ進みます。

「手順3:インスタンスの詳細の設定」画面では仮想マシンのネットワークに関する設定を変更できますが、ここでは特に変更する必要はありませんので「次の手順:ストレージの追加」へ進みます。

1-5.「ストレージの追加」ボタンをクリックする

「手順4:ストレージの追加」画面では、仮想マシンのストレージサイズ(データをどれくらい保存できるか)を設定します。無料プランなら、デフォルトで30GB利用できます。

1-6.「タグの追加」ボタンをクリックする

「手順5:タグの追加」画面では、仮想マシンを管理するためインスタンスに名前をつけることができます。「タグの追加」ボタンをクリックして、キーの列に「Name」、値の列に「Word Press」を入力します。

1-7.「セキュリティグループの設定」ボタンをクリックする

「手順6:セキュリティグループの設定」画面では、サーバーに接続できる場所を制限できます。デフォルトで最低限の設定がされているため、ここはデフォルトのまま進めて問題ありません。「確認と作成」ボタンを選択します。

1-8.新しいキーペアを作成する

「手順7:インスタンス作成の確認」画面では、セキュリティに関する注意事項が表示されます。内容を確認したら「起動」ボタンを押下します。

すると、「既存のキーペアを選択するか、新しいキーペアを作成します。」という画面が表示されますので、「既存のキーペアの選択」プルダウンから「新しいキーペアの作成」を選択し、続けて2で任意の名称を入力します。入力後、「キーペアのダウンロード」ボタンをクリックします。

ダウンロードフォルダにて、専用キー「(任意の名前).pem」ファイルをダウンロードしたら、先程の画面に戻り「インスタンスの作成」 ボタンをクリックします。
すると、自動的にインスタンスの作成が開始されます。
※「インスタンスの表示」ボタンから、インスタンスの状態を確認することができます。「WordPress」というインスタンスが「running」と表示されていれば、作成は完了し、インスタンスが起動中ということになります。

1-9.インスタンスの起動を確認する

インスタンスに割り当てられたIPv4パブリックIPアドレスの前に「http://」をつけてブラウザで接続してみます。IPv4パブリックIPアドレスは、現在割り当てられているインスタンスのIPアドレスのことです。WordPressの初期ページが表示されればインスタンスの作成は成功です。

Amazon EC2を利用するメリット/デメリット

AWSでのWordPressの構築には、次のようなメリットとデメリットがあります。

1.メリット

1-1.低コストで稼働が可能

Amazon EC2の料金は従量制のため、ビジネス用のレンタルサーバーやオンプレミスサーバーを利用するよりもコストが安く抑えられます。また、条件付きで無料利用も可能なので初期費用がかかりません。

1-2.レンタルサーバーやオンプレミスサーバーよりも自由度が高い

レンタルサーバーでは、提供する会社がマシンスペックや権限、セキュリティ、どのようなプログラムを使えるかなどを規定しているため、その条件を超えるWebサイトは作れません。一方、AWSでは必要なサービスを組み合わせることでマシンスペックを柔軟に選ぶことや、セキュリティを十分に強化することができるため、用途や利用状況に合わせて必要なサービスを選択することができます。

1-3.複製が簡単にできる

構築したインスタンスをAmazonマシンイメージ(AMI)として保存し、別のインスタンスを複製することができます。テスト環境から本番の環境を構築したり、容易にバックアップを作成したりすることが可能です。

1-4.高いセキュリティ

AWSは、Amazon社がセキュリティ対策を行っているため、常に一定以上のセキュリティが保証され、自動的に最新の状態に更新されます。また、ELB(Elastic Load Balancing)というトラフィックを複数のEC2インスタンス等に自動的に分散することで、負荷を分散することができます。

2.デメリット

2-1.利用するためにはある程度の知識が必要

AWSでは多様なサービスが提供されていますが、欲しい環境を実現するためには、それらを必要に応じて組み合わせて使う必要があります。レンタルサーバーを利用するよりも必要な知識が多く、オンプレミスサーバーのように専任の管理者に一任することもできません。

2-2.稼働してみないと料金が分かりにくい

AWSでは、複数のサービスを利用するするとそれぞれに料金が発生します。
また、データ転送量などによってコストの負担が変化するため、Webサイト1つに対してどのくらいのコストが発生するのか、実際に稼働してみないと分かりにくい点があります。それに対してレンタルサーバーでは月額で料金が定めてられているため料金が把握しやすいです。

2-3.小規模なWebサイトには過剰な性能でコストもかかる

AWSでWebサイトを構築するにはEC2以外にもいくつかのサービスを利用する必要があるため、無料利用枠の期限終了後は毎月数千円のコストがかかることになります。そのためごく小規模なWebサイトの運営では、レンタルサーバーを使った方が安上がりになる場合もあると言えます。

まとめ

以上、Amazon EC2でWord Pressを構築する方法とAmazon EC2を利用するメリット・デメリットを紹介させていただきました。構築に関する手順は、それ自体はあまり複雑なものではありませんが、文章だけではイメージしづらいかもしれません。実際に手を動かして確認しながら構築することが理解への近道だと思いますので、ぜひ実践してみてください。

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