NotesからSharePointへの移行。どうしても移行すべき?

Microsoftが提供するSharePointは知っていますでしょうか。最近はSharePointへ移行が目立ち始めているように見えます。今回はSharePointへの移行に関して「Notes」に焦点を当てながら解説していきます。

そもそも「Notes」とは

「Notes」※はIBNが提供しているグループウェアのことを指します。文書共有や電子メール、電子掲示板(BBS)、予定管理(カレンダー/スケジュール)の機能がある他、グループ内メンバー間のメッセージ交換や情報共有ができます。また、定型データのみならず様々な種類の非定型な文書と情報を蓄積することができるので、情報整理機能を用いることで分類、検索、並べ替えを行うことができます。スクリプト言語で機能追加を行うこともできるのでNotesを基盤とした業務内容に最適化されたシステムを作り込むことが一般的な利用方法とされていました。

※正式名称はLotus Notes(ロータスノーツ)。名称に関してはIBNがLotus Development社を買収後、2013年にLotus部門およびブランドが廃止したことで「IBN Notes」へ改称。

小話「Notes」からの移行がなぜ提唱されているのか

NotesからSharePointへの移行が提唱されているのには理由があります。それは「Notesを運用できるエンジニアが不足しはじめた」ことです。

Notesユーザーの減少は10年前から始まっているらしく、Notesの運用には限界が発生し始めているようです。当然長く運用していれば多少の問題はあっても熟練のエンジニアが対応すれば問題が無いですが、そもそものNotesユーザーが減少していれば話は別です。会社規模で業務に大きな影響を与え始めています。

実の所、Notesが提供されたのは1989年で、1990年代前半にはNotesを導入し、20年以上運用している場合も少なくないです。それだけ実績と定評があったからこそNotesを運用している会社が多いといえます。ただし、Notesを導入当時に在籍していたエンジニアは定年や異動によって退職している場合が大半となりつつあるようで、Notesを理解できるエンジニアに空白が生じてしまっています。また、当然ですがNotesの機能の一つであるスクリプト言語による機能追加を行っていることで、自社のシステムが在籍エンジニアにとってブラックボックスとなってしまい、実質的にお手上げ状態ということになります。

さらに業務プロセスに最適化したシステムが元々構築されてしまったことで、関連するスキルを習得しても使う場がありません。おまけにIT業界は流動性があるので次世代の最新技術がとても早いスパンで登場することで、Notesに求められるスキル自体が時代に対して置き去りとなってしまい、Notes技術者を育成するメリットが費用対効果的にも少ないです。結果として、自社システムにも関わらず、運用を外部の専門業者に委託することで解決を図る場合もあります。

早い話が「ロートルすぎて最新のシステムに対して適合できない」ということですね。

そして古すぎるシステムを維持していくには相応に希少化した技術が必要です。希少化した技術というのはそれだけで価値があるので相応のコストを求められます。Notesの運用保守も必要とされるコストは増加傾向にあり、ワークスタイルの変化等、時代の流動性に対して対応できる柔軟性を求められていますが、Notesはそれに対応しきれなくなっています。

「Notes」から「SharePoint」への移行するメリット

Notesの強みはスクリプト言語による機能追加を「ユーザー単位で構築することが出来る」ことでした。結果、業務内容に最適化されたシステムを作り込むことができ、かつそれを実現可能としたプラットフォームとして一躍名を馳せます。ユーザーは自分専用のワークスペースを立ち上げ、自由に表示するアイコンを設定することができましたし、独自の掲示板を立ち上げたりワークフローを構築することが比較的容易に行えたので、個人や部門単位での業務効率を上げやすかったという側面があります。ただし、利用が進むにつれて会社全体のガバナンスが効かせにくい上にユーザー単位での構築であることから次第に煩雑化して、全体最適化が困難になっていきます。

その一方で後発となるSharePointでは、情報共有を行うためには、チームサイトかコミュニケーションサイトを作成する必要があるのですが、その権限は特定のシステム管理者にしか開放されません。したがってユーザーや各部門が自由にサイトを構築する、ということはできません。サイト内にコンテンツを作る場合でも、権限移譲が行われたユーザーにしか行えないので、サイトと情報共有を効率化するには知識が必要です。つまり「発信側でシステム全体の統制が取りやすい」ということです。

そして以上のことから、NotesからSharePointへの移行には「情報共有と会社全体でのガバナンスの保全」というメリットがあることが分かります。

Notesは個人の業務効率を引き上げることを目的としているのに対して、SharePointは組織全体の業務効率を引き上げ、ユーザー単位での独断専行を抑制して、全体の足並みを揃えることが目的としているといえます。

まとめ

・Notesはスクリプト言語による機能追加を行うこともできるのでNotesを基盤とした業務内容に最適化されたシステムだった。

・Notesが提供されたのは1989年で、現在まで20年以上経過。導入当時に在籍していたエンジニアは定年や異動によって退職している場合が大半で知識を持つエンジニアに空白が目立ち始めている。

・機能追加によって煩雑化したシステムが自社のものなのにブラックボックス化。

・IT業界の流動性は次世代の最新技術が早いスパンで登場することで、Notesに求められるスキル自体が時代に対して置き去りになっている。

・SharePointは情報共有を行うためにチームサイトかコミュニケーションサイトを作成する必要があり、その権限は特定のシステム管理者にしか開放されていない。

・NotesからSharePointへの移行には「情報共有と会社全体でのガバナンスの保全」というメリットがある。

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