承認ワークフローの概要とそのメリットをご紹介

はじめに〜sharepointのワークフローとは〜

承認ワークフローとしてよくあるのが、以下のような要件です。

(1)複数人から承認をもらう

(2)多段階で承認をもらう

(1)については、2人以上から承認が必要だったとして、1人でも承認したら、こういう処理になり、2人承認すれば別の処理になるという内容です。ファイルを共有する仕組みがsharepointであるため、承認数によって処理を変更させることも可能です。

(2)ですと、例えば見積書を作成してお客様に提出するには、自社内で見積書の承認を得る必要があります。この承認作業をメールやファイルサーバ上で行った場合、確認するまでに時間がかかってしまったり、承認されたかどうかをすぐに判断できません。この承認作業をsharepointのワークフロー機能に置き換えることで、メールで承認を得るまでにかかる時間が格段に少なくなります。つまり、書類を作成してから承認をもらうという一連の流れを承認者がその場にいなくとも「書類をその場で確認し、承認する」という点で時間や手間を削減することができます。

ワークフローの詳細

承認ワークフローは、sharepointに保存された資料を他の利用者に承認や却下するための機能です。承認ワークフローは、テンプレートとして機能します。このテンプレートを使って、複数の承認ワークフローをサイトに追加できます。追加する各ワークフローは、基本となる承認ワークフローの一意のバージョンで、それぞれが追加時に指定された設定に基づいて独自に機能します。ここでは具体的にsharepointのワークフローでどのような動きになるかを記載していきます。

(1)ワークフローを作成する

承認ワークフローをリストやライブラリに追加します。このとき、参加する人数と参加者に対するタスク(役割)を割り当てます。このとき、この人はこのタスクというように1つずつ割り当てることも可能ですし、全員同じタスクであれば全員に同時にタスクを割り当てることもできます。その他にも、各タスクの最終的な期限と実行期間も指定可能です。

(2)タスクの受領

(1)の作業が行われたあと、割り当てられた参加者はタスクを受領します。これに対して参加者はタスクを承認したり、却下、変更の依頼をします。

大枠としては上記のようになります。またワークフローの実行中に、下記のような機能も持ち合わせています。

■ワークフローの進行状況の確認

ワークフローの状態を確認するページがあるので、そのページから誰がどのような処理をしたかという状況確認が行えます。

■過去のワークフローの確認

完了したワークフローは最大で60日間確認することが可能です。先述の進行状況を確認する際に使用したページで過去のワークフローの確認も行えます。

ワークフローで実行できない処理

ここまではワークフローで実行可能な処理を記載してきましたが、今回は逆に実行できない処理を紹介します。

■参加者による、アイテムの追加

ワークフローを進める中で、参加者自身がワークフローの不備を発見し、承認対象のドキュメント(アイテム)が不足していたとします。このとき、対象のワークフローに参加者がアイテムを追加するのが早いと考えるかもしれませんが、この処理をワークフローでは行えません。代わりに参加者はワークフローの作成者に対して、修正の依頼をsharepoint上で出すことができます。

sharepointの活用例

sharepointワークフローでの活用例を紹介します。

(1)フィードバックの収集

フィードバックの収集とはドキュメントや資料に対して、フィードバックを要求したい場合に使用します。利用者全てにワークフローを出すことも可能ですが、この場合、有識者のみに出すことで有効なフィードバックを得られます。

(2)署名の収集
対象にドキュメントに対して、署名を収集することができます。従来であれば手書きの署名が当たり前となっていますが、手書きの場合、管理が煩雑になってしまい、紛失につながってしまう危険性があります。しかしながら、署名をsharepointのワークフローに置き換えることで、sharepoint上で管理することとなり、紛失につながることは極めて低くなります。

(3)書類の廃棄承認
過去のワークフローのタスクにおける書類(ドキュメント)に対して有効期限に達したドキュメントを保持しておくか、削除するかを承認させることができます。これと(2)の署名の収集を組み合わせることも可能です。多数の期限切れとなったタスクやアイテムを一括で管理できます。

(4)多段階のタスク割当
承認機能を使ってプロジェクト管理することも有効です。承認する人はプロジェクトにおいて役割が同一とはかぎりません。Aさんにはこのタスクをこの期限に、Bさんは…という具合にタスクと承認者をsharepointで割り当てることでsharepointからプロジェクトのタスク管理もさせられます。

その他にも活用次第では、sharepointに置き換えることが見込めます。現在、手作業によるグループ管理をsharepointに置き換えることで時間短縮やさらなる情報共有の円滑に役立つことでしょう。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

Power Automate(Flow)の活用

マイクロソフトはsharepointとは別にPower Automateというツールも有償で提供しています。Power Automateはどんなツールかを一言で言うと、タスクを自動化するためのツールです。最大の特徴としては、Power Automateを使用することで他のアプリケーション同士を連動させてタスクを自動化させることができます。そのため、sharepointと他のアプリケーションを連動させることでさらに作業がシステマチックになることが期待できます。なお、Power Automateは過去にFlowという名称のツールでした。

では、他のアプリケーションと連動させるとはどのようなイメージなのでしょうか。sharepointを活用するという意味では、sharepointで承認ワークフローを作成し、承認となったら、Gmailに承認となった旨のメールを送信するというのも可能です。仮にPower Automateを使用しなかった場合、Gmailに送信するというのは行えず、あくまでsharepointのみで完結します。そのため、承認となったのを把握するという部分ではPower Automateを介してGmailに送信するよりも遅くなってしまいます。また、Outlookのメールで送付されてきたメールに対して、添付ファイルがあった場合に添付ファイルをsharepointに保存する際にもPower Automateを使用することで有効となります。Outlookを開いて、さらにshareointを開いて対象のフォルダへという手間が無くなり、これらが自動で稼働することとなります。

Power Automateで登場する用語

Power Automateで登場する用語はいくつもありますが、今回は3つの用語を説明します。

(1)トリガー

タスクが稼働する際になる行動の起点です。エクセルでいう「IF」のようなイメージです。「もしも承認のワークフローが作成されたら」「もしもメールが届いたら」というようなものです。

(2)アクション

トリガーに対してどう動くかというものです。「メールで通知する」「sharepointにファイルを格納する」というものです。

(3)条件

条件という名称ですが「分岐」と同じ意味合いです。「YESの場合」「NOの場合」というように条件を作ることで動作をわけることができます。

sharepointとPower Automateの連動

sharepointとPower Automateを連動させる際の動作を説明していきます。有給休暇の申請をする際に申請から承認となるまでの動きを例として説明していきます。Power Automate上でのトリガーはsharepointで休暇申請のドキュメントがアップロードされた時となります。休暇申請を格納するフォルダを決めておくとそれもトリガーとしてはなお良いです。

ではアクションはどうでしょうか。いろいろなアクションが考えられます。たとえばGmailで知らせるようにするであったり、会社のTwitterアカウントに通知をするであったり使用しやすいアクションが考えられます。なお、有給の申請については申請されたときの動きであるため条件の分岐をつける必要は特にないです。一方で休暇申請がsharepoint上で承認された場合はどうでしょうか。

まずはPower Automateのトリガーから考えていきます。Power Automateのトリガーで考えられるのは休暇申請がsharepoint上で承認された場合と否認された場合です。つまり、トリガーに条件(分岐)をつけてあげる必要があります。承認となった場合は、申請者に承認となった際のアクションを作るだけです。先述のGmailで通知であったり、Twitterアカウントに通知ということを設定してあげます。仮に段階的に承認が必要となった際はアクションの通知先をその承認者に変更してあげるだけです。

sharepointはMicrosoft社の製品であるため。Microsoft社製のツールとの相性がいいのは確かです。sharepointは残タスクの管理も行えます。そのため通知をOutlookで受け取った際にsharepointと連動させておくことで、承認フロー上に残っている申請をsharepointで確認することができます。そのため、承認者はまだ承認していないものを見落とす心配は視覚的に無くなります。

一方でsharepoint上で否認となってしまった場合はどうでしょうか。こちらも承認と同様で通知するアクションを設定してあげるだけとなります。組織にもよりますが、通知方法を否認と変えてあげるのもいいかもしれません。例えば承認は形式的なものであるため、通知はOutlookやGmailというメールでの通知にするというイメージです。承認と同じ通知形式でも問題ございません。このように、固定化された申請でなおかつ、他のアプリケーションを連動させたいという場合はsharepointとPower Automateを活用することが有効であると言えます。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。少しでもお役に立てれば幸いです。

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