Microsoftが提供していた無料のコラボレーションツールSharePoint Foundation。現在はSharePoint Onlineへ。

Microsoft SharePointとは?

ビジネスシーンで発生する業務コラボレーションや文書管理、さらにWebサイト作成などのために使用されるプラットフォームがMicrosoft SharePointです。SharePointは、Webブラウザーを介してアクセスできるWebベースのアプリケーションで、同じ業務に関わる複数のユーザーが情報を共有、編集、保存できるようにするための多数の機能が提供されています。

SharePointを使用することで、複数の人が同じ文書や情報にアクセスでき、なおかつリアルタイムで編集できるため、開発のプロジェクトチーム、部署、そして組織全体のコミュニケーションを円滑にし、協力体制を比較的簡単に構築することができます。また、文書ライブラリ、フォルダ、アラート、タスクリストなどの機能があるので、これを使用することで文書の保存、追跡、管理も簡単になり、業務プロセスを改善することが可能です。

SharePointは、Webサイト作成用のツールとしても使用されています。SharePointが持つ「Webパーツ」と呼ばれるコンポーネントを使用して、ドキュメントライブラリ、リスト、アプリケーション、メディア、Webページなどを全て1つのサイトに統合することができます。

当然のことながら、SharePointは他のMicrosoft製品、特にMicrosoft Office製品と緊密に統合されています。Microsoft Officeと非常によく似たユーザーインターフェースを持っているため、Officeアプリケーションで作成された文書を簡単にSharePointにアップロードし、SharePoint上で編集することも可能です。

Microsoft SharePoint Foundationとは

Microsoft SharePointには、SharePoint Foundationという無料版が提供されており、小規模な組織や個人の使用に適したバージョンにになっています。SharePoint Foundationは、SharePointの主要な機能のうち、限られた一部が提供されているプラットフォームで、アクセスするために必要なライセンスは特にありません。

SharePoint Foundationも、通常のMicrosoft SharePointと同様にWebサイトの作成、文書管理、チームプロジェクトの管理などの機能が提供されています。具体例としては、SharePoint Foundationを使用するとリストやライブラリの作成、ドキュメントの共有、カレンダーの共有、タスクリストの作成、ワークフローの設計、バージョン管理などが可能です。

SharePoint Foundationは、エンタープライズ版(=有料版)のMicrosoft SharePointと同様にMicrosoft Office製品との連携が可能で、Word、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションから直接SharePointにアクセスして文書のアップロードや編集を行うことができます。また、モバイルデバイスからのアクセスもサポートしているので、外出先からでも必要なリソースや情報にアクセスし、関連するメンバーと共有することも可能です。

ただし、SharePoint Foundationには、エンタープライズ版のSharePointにはあるいくつかの高度な機能がないため、大規模な組織や、複雑な業務プロセスを管理する必要がある場合には、SharePoint Foundationよりも高度なバージョンのエンタープライズ版SharePointの導入が必要です。

なぜSharePointには有料版と無料版があるのか?

SharePointにエンタープライズ版(=有料版)と無料版がある理由は、機能の差異や利用目的の違いによります。

2023年現在、無料版のSharePoint Foundationは、SharePoint Onlineという名称に変更されており、サブスクリプションサービス「Office 365」のサービスの一部として提供されています。小規模な組織や個人が使いやすいように、基本的なコラボレーション機能を提供するためです。一方、エンタープライズ版のSharePointは、エンタープライズ向けのコラボレーションプラットフォームであり、高度な機能やセキュリティ機能、スケーラビリティが求められます。

エンタープライズ版のSharePointには、より多くの機能や制限の緩和、カスタマイズや開発のためのツール、サポートなどが含まれます。また、大規模な組織やビジネスに必要な高度なセキュリティ機能を提供するため、コンプライアンスや情報保護、データの暗号化などの機能も含まれています。

SharePoint Foundation(=現SharePoint Online)の無料版は基本的な機能を提供し、小規模な組織や個人のニーズに適したものです。一方、エンタープライズ版は、高度な機能やセキュリティ機能を必要とする大規模な企業や組織での利用に適しています。

このように、利用者の状況や環境によってはエンタープライズ版はいわゆる「オーバースペック」なものになる可能性もあるため、無料版との使い分けは導入を検討する際のトライアルとしても有効な手段として機能していました。

SharePoint OnlineとSharePoint Foundationに違いはあるのか?

SharePoint Foundationは現在のSharePoint Onlineに変更されているということをご紹介しました。では、SharePoint FoundationとSharePoint Onlineにはどのような違いがあるのでしょうか?

SharePoint Onlineは、MicrosoftがクラウドベースのOffice 365サービスとして提供する完全なクラウド版のSharePointです。これに対してSharePoint Foundationは、以前はSharePoint Serverと呼ばれていたオンプレミス版のSharePointで、無料の基本版として提供されていましたが、SharePoint Server 2019を最後に廃止されており、2023年現在は新規に利用開始することはできません。

SharePoint Onlineは、Microsoftによって常時メンテナンスされるクラウド版サービスであるため、常に最新の機能が利用可能です。これに対して、SharePoint Foundationは、提供されている間は無料で提供されているアプリケーションであったため、現在の最新機能に対応していないものもあります。また、オンプレミス版なので、企業は自分でインストール、保守する必要がありました。

費用面でも大きな違いがあり、SharePoint Onlineの場合は、サブスクリプションベースの月額料金で提供されていますが、SharePoint Foundationは無料版として提供されていたため、そもそも購入費用がかからなかったという点でも大きな違いがあります。

SharePoint Foundationは新規に利用することはできるのか?

2023年現在では、新規にSharePoint Foundationを利用することはできません。MicrosoftはSharePoint Foundationのサポートを2016年に終了させており、サポート終了以降は新バージョンのリリースは行われていません。また、オンプレミス版のSharePoint Server 2019でもSharePoint Foundationは廃止されています。

現在、オンプレミス版のSharePoint Server2019では、Standard版とEnterprise版が提供されています。現在のMicrosoftはクラウドベースのOffice 365サービスの1つであるSharePoint Onlineの導入・利用を推進しており、将来的にはオンプレミス版のSharePoint Serverに代わって、SharePoint Onlineに完全移行することを強く推奨しています。

したがって、新しいプロジェクトやサイトを開始する場合は、SharePoint OnlineまたはSharePoint ServerのStandard版またはEnterprise版を検討することが推奨されています。もし現在でも過去にセットアップされたSharePoint Foundation環境を使用している場合は、移行先を選択したりアップグレードの計画を立てる必要があるでしょう。

 

2023年現在、MicrosoftはSharePoint Serverの最新バージョンであるSharePoint Server 2022をリリースしましたが、SharePoint Foundationは含まれていません。 前述の通り、SharePoint FoundationはSharePoint Server 2019以前のバージョンで提供されていましたが、以降のバージョンでは提供されておらず、このことからもMicrosoftがOffice 365への移行を推奨していることがわかります。

ただし、SharePoint Foundationと同様の機能を持つ、SharePoint Serverの無料のエディションであるSharePoint Server for Search Expressが提供されています。このエディションは、検索、メタデータ管理、ドキュメント管理、Webコンテンツ管理などの基本的な機能が使用可能です。

Microsoft SharePoint Foundationで実装されていた機能について

SharePoint Foundationは、SharePoint Server2013を最後に廃止され、SharePoint Server2016年以降は提供されていませんが、提供されていた間は以下のような主要な機能を使うことができました。

コラボレーション機能

SharePoint Foundationは、様々な種類のコンテンツを管理するための機能が提供されていました。例えば、文書ライブラリや画像ライブラリ、リストやフォームなどを作成する、などの「コラボレーション機能」です。この機能により、組織内での情報共有やプロジェクト管理がより効率的に行えました。さらに、SharePoint Foundationは、様々なセキュリティ機能を備えています。ユーザーごとにアクセス権限を設定することができ、機密性の高い情報を安全に管理することが可能でした。様々なアプリケーションとの連携も可能で、例えばMicrosoft Office製品やサードパーティーのアプリケーションとの連携もでき、より効率的な作業ができました。

ドキュメント管理機能

SharePoint Foundationは、ワークフロー管理やビジネスなどにおける各種プロセスの自動化、ビジネスインテリジェンスの機能が提供されていました。これにより、組織内の業務プロセスを効率化し生産性を向上させることができるという特徴がありました。さらに、SharePoint Foundationは、外部とのコラボレーションや、モバイルデバイスからのアクセスにも対応しており、場所や時間を問わず、情報の共有や取りまとめなど、ドキュメントの管理が可能でした。

サイトのカスタマイズ機能

ドキュメントやデータのバージョン管理、アクセス権限の管理、検索機能やタスク管理など、ビジネスに必要なカスタマイズ機能が提供されていました。SharePoint Foundationは、他のMicrosoft製品との統合性も高く、OutlookやExcelなどのアプリケーションから直接アクセスすることができ、業務効率の向上や情報共有の円滑化を図ることができました。

SharePoint Foundationの今後について

現在でもSharePoint Foundationを使用しているユーザーにとって気になるのは、SharePoint Foundationの今後がどうなるか、ということでしょう。

SharePoint Serverについて

SharePoint FoundationはSharePoint Server2010までは含まれていましたが、SharePoint Server2010の後継バージョンであるSharePoint Server 2013では廃止されており、SharePoint Server2013そのもののサポートについても、Microsoftは2023年4月11日までは提供提供する予定です。SharePoint Foundationは、SharePoint Server 2013でも廃止されているため、いずれにしてもSharePoint Foundationを継続して使うことはできなくなります。そのため、SharePoint Server2013を使っているユーザーは、最新バージョンへのアップグレードが強く推奨されています。

SharePoint Server 2016以降でもSharePoint Foundationはサポートされていません。また、MicrosoftはSharePoint Server2016のサポートそのものも2026年7月まで提供する予定にしています。

そのため、SharePoint Server 2016を使用している場合はSharePoint Foundationを継続使用することはできません。また、SharePoint Server 2016のサポートも2026年までとなっているので、サポートが切れる前に最新のバージョンにアップグレードすることが推奨されています。

2023年現在の状況

2023年現在、MicrosoftはSharePoint Serverの最新バージョンであるSharePoint Server 2022をリリースしていますが、こちらにもSharePoint Foundationは含まれていません。しかし、SharePoint Foundationと同様の機能を持つ、SharePoint Serverの無料のエディションであるSharePoint Server for Search Expressが提供されています。このエディションは、検索、メタデータ管理、ドキュメント管理、Webコンテンツ管理などの基本的な機能を提供しているので、これらの機能が必要な場合は選択肢として考えてみるのが良いでしょう。

まとめ

ここまで、Microsoftが提供していた無料の業務コラボレーションツール「SharePoint Foundation」についてのご紹介をしてきました。残念ながらSharePoint FoundationはSharePoint Server2010までで提供が終了しており、業務コラボレーションツールとしての役割は有料版のSharePoint Serverやクラウド版Office 365用SharePoint Onlineに引き継がれています。業務における様々な情報共有やスケジュール管理の共有化が必要な場合には、ぜひ有料版のSharePointラインナップを検討してみてください。

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